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2023年4月14日 (金)

【昔語り12】パーソナルロボット TOPOの話(おしまい)

TOPOがアメリカで発売になった1983年頃、日本は「ロボットブーム」でした。これは産業用ロボットとかそういうわけではなく、「エンターティメント」としてのロボットに注目が集まっていたということです。下の写真は以前所有していた、その頃の「ハイテク」ロボットたちです。音声認識ロボット「キクゾー」、オムニボットなどある年齢の方には懐かしいおもちゃだと思います。

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マイコン制御が一般化してきたなど、テクニカルなバックグラウンドがあったのは確かですが、ブームの火付け役となったのは「スターウォーズ」で描かれた魅力的なドロイドたちでしょう。僕は当時エンターティンメント業界にいたので、この辺のことはよく覚えてます。オリジナルのロボットキャラクターもいくつか作られました。ニッカウィスキーのCMとか有名でした。

アメリカでも似たような状況で、1984年発売のオムニボットはアメリカのヤッピーによく売れたそうです。のちにアメリカ人と仕事をした際に、意外とオムニボットの知名度が高かったので驚きました。

同じ頃TOPOが発売されたわけですが、調べた範囲では全シリーズ合わせても実販売数が一千台に満たないようで、前に書いたように商品としては大失敗と言えるでしょう。

TOPOを動かしてみた体験から考えると、売れなかった理由の一つは「使うのが大変」だったからではないかと思います。まず、パソコンを用意し、インターフェイスやジョイスティックを接続しなければなりません。さらに動かすにはプログラムすることが必要です。しかもできることは動き回ることと喋ることだけ、頭の押しボタン以外にはセンサもありません。同じようなことができ、パソコン要らずで操作も簡単なオムニボットには勝てなかったのだと思います。

Img_5075 TOPOで遊ぶために必要な「機材」

Androbot社では、このTOPOシリーズはホームロボットの導入部で、本命はB.O.B.というパソコンを使用しない自律型を考えていたようで、TOPOのセールスには力が入ってなかったのかもしれません。また、本格的なセールスを打つには、今回わかった「赤外線通信が蛍光灯からの光ノイズに弱い」という弱点をなんとかする必要があったことは想像に難くありません。これは経年劣化でこうなってるわけではなく、おそらく出荷したばかりのTOPOでも同じだったのだと思われます。しかも通信方式をオシロで調べた限りでは、簡単には解決できなかったろうと思います。

ある意味、曰く付きの商品だったともいえるでしょう。とはいえ(おそらく)世界初のパーソナルロボットとしてTOPOの名は歴史に残ることになりました。黒歴史かもしれませんが。

修理の済んだTOPO IIIは、今リビングでお地蔵様状態となっています。いずれ動態保存に興味のある博物館があれば寄贈したいと考えてます。あるかなあ(笑)

2023年3月 6日 (月)

【昔語り12】パーソナルロボット TOPOの話(その3)

動作テストです。マニュアルによるとDEMOがあるようなので、それを実行しました。喋りが主体なので音を出して観てください。

 

ようやく動いたか〜という感じです。あまり走行しないのがつまらないですが、走るデモもありました。ジョイスティックでリモコン操縦しています。

 

ただし、一つ大きな問題があります。それはTOPOとパソコンを繋いでいる赤外線通信が、普通の蛍光灯の影響を受けるということです。デモをやってる和室のペンダント蛍光灯を点けると通信できなくなります。蛍光灯は普通のグロー管タイプ、黒い紙で蛍光灯の光を遮断すると回復することから、電気ノイズではなく放電灯の光ノイズが原因です。オシロで信号を見る限り、簡単になんとかなるものではなさそうです。

左の波形がパソコンから送られてきた赤外線信号。TOPOの受信アンプの波形です。PWMのようですがかなり高速のパルスでやってます。そして、右が蛍光灯を灯した時の波形。信号がノイズで完全にマスクされてしまってます。

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赤外線通信分に黒い紙を載せて傘を作ると、ノイズ分のレベルが下がって信号が見えてきますが、よほどノイズレベルが下がらないと通信復帰にはなりません。これくらいでは全然ダメです。

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ともかく、修復作業としてはこれにて一件落着。次回はTOPOという商品について考えます。

 

2023年3月 2日 (木)

【昔語り12】パーソナルロボット TOPOの話(その2)

修復作業開始です。まずはバッテリーを入れますが、そのためにはほとんど分解しなくてはいけません。左の写真が分解したコンポーネントを動作するよう接続した様子、右が秋月で購入したバッテリーの搭載です。このバッテリーが前後に1個ずつ入ります。また、駆動輪を浮かせてテストできるようウマも作りました。シャーシ下の木製の台がそれです。

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ここで現状の確認です。本体のボタン操作と通信の状態を確認します。これですんなり動けばいうことないんですが・・・結果は「駆動系OK」「音声NG全く喋らない」「通信NG全く通信できていない」ということで・・・長丁場を覚悟しました。

通信ができてないとソフト起動時にこんなエラーメッセージがでちゃいます。

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捨てる神あれば拾う神あり。ネット上でTOPOの回路図を見つけました。手書き修正の入ったプリプロ版のようです。また全ての回路図があるわけでもないようですがそれでもありがたい。他にもいろいろ書類がアーカイブされてて興味深いサイトです。

回路図があるとはいえ修理は大変でした。事細かに書いても退屈なだけなので、結果だけを。

まず18V電源のタンタルコンデンサがショートしおり、レギュレータが発熱してサーマルシャットダウン状態。18Vから作っている-5Vがでてないのでスピーチモジュールが動かないことが判明。喋らないのはこのせいです。

さらに、赤外線パルスをレベル変換してマイコンに入力するコンパレータが故障、接続されてるマイコンの入力ポートも故障ということで、これが通信できない原因のようです。

入手容易な部品なのでマイコン(8031)含め新品に交換しました。それぞれの回路は電気的に関係がありますが、実際にどうやって壊れたかはわかりません。タンタルコンデンサは、電解のように経年で液漏れしないので、いっときよく使われましたが、過電圧や逆電圧に弱くショートする方向に壊れやすいという厄介さも。おそらく何らかの理由で過電圧か逆電圧がかかり、それが元で連鎖的に壊れたのではないかと思います。ここは深く追求しないことにしました。もちろんタンタルは止めて普通の電解コンに差し替えました。

ここまでくれば動きそうということで、メイン基板だけをバラックに組んでスピーチのテストを。下の写真の奥の方に展開してるのがメイン基板と通信基板です。手前の六角形の装置がApple IIに接続された赤外線通信機です。

動画はApple IIeの画面です。通信ができているので、スタートアップメッセージの次の行にOKと出ています。OKが返ってきた時には泣きそうになりました(笑)。いままでエラーメッセージしか見たことがなかったですから。動画ではTOPOの声が聞こえます。この時点で作業を始めてから1ヶ月が過ぎてました。

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いよいよ次回、動作テストです。

2023年3月 1日 (水)

【昔語り12】パーソナルロボット TOPOの話(その1)

パソコンブーム華やかなりし80年代、鳴り物入りで登場した「パーソナルロボット」がありました。

アメリカAndrobot社が1983年に「世界で初めてのパーソナルロボット」として発表したのがTOPOという子供サイズのロボットでした。写真はTOPOのキービジュアルです。スターウォーズのドロイドをイメージさせますね。

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TOPOが「鳴り物入り」だったのは、Androbotのファウンダーが、ATARIを成功させたノーラン・ブッシュネルさんだったからです。ゲームに続いてロボットでも一山当てるのでは、ということでしょう。僕のいたエンターティンメント系の会社にも、国内販売の打診があったのを記憶しています。もっとも、大方の期待は空振りで、数年で事業を畳むことになります。TOPOの詳しい情報は、このサイトでみることができます。

さて、当時は縁のなかったTOPOですが、十数年前にヤフオクで手に入れることができました。TOPO IとTOPO IIIです。これは入手当時の写真です。

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左がTOPO I、本体だけです。これはただのラジコン走行で、Apple IIに接続した送信機でBASICから動かすことができたようです。

そして右がTOPO III、最終販売モデル、パソコンと双方向の赤外線通信でつながるリモートブレインタイプです。これにはマニュアルからI/Fまで動作に必要なものは全て揃っていて、譲っていただいた方によると「長いこと動かしてないが動くはず」という状態でした。この時、手持ちのApple IIcでいろいろと試してみたのですがどうしてもダメ、対応にIIcは入ってないのでそのせいかなという感じでお蔵入りになりました。

それから十余年、ヤフオクでApple IIe(写真左)の状態のいいセットを見つけたので、思い切って修復作業を再開することに。

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ディスクドライブにシリアルカード、ジョイスティックと必要なものは揃っている上に、電源のコンデンサ交換済みと信頼性も担保されてます。TOPO SOFTの対応機種にはしっかりIIeが入ってます。これなら動きそう。

修復作業を始めたのは2023年1月早々でした。続きは次の投稿で。

2022年12月10日 (土)

スパイ映画に出てきそうな高一再生検波受信機

2020年の夏、ポータブル電池管ラジオに続いて作ったDX用小型ラジオのハナシです。

BCLコンポが意外と使えたので、ここは一つ本格的なBCLセットを作ってみようということに。BCLコンポでは高周波増幅プリセレクタにトランジスタ、スピーカーアンプに最新ICを使用していたのですが、ここは全真空管式で。早速バラックセットに組んでみました。

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左側が5678を使ったプリセレクタ、右側が5678と6418を2本使った再生検波ラジオです。主同調にバーニヤダイヤルもつけてみました。1-V-2という構成ですね。普通のヘッドホンで聴けるよう出力トランスが入ってます。テストの結果良好でセットに組むことにしました。

プリセレとラジオ本体はなるべく離したほうがいいのはわかってるんですが、やっぱり小さいセットがいいなと。最初のコンセプトは「キャンプに持って行ってBCLを楽しむ」ラジオでスタートしました。キャンプなんてやらないんですが(笑)ラジオとアンテナ、アースのワイヤなんかをひとまとめにできるようなキャビネットを企画しましたが、これが結構大変そうで。結局ラジオ本体をなるべく小型化することに。できてみると「50年代のソ連のスパイがアタッシュケースに忍ばせそうな」ラジオと相成りました。無骨さが東側っぽいですよね。

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主同調が36mmのバーニヤダイヤル、後ろのダイヤルがプリセレクタの同調つまみです。右手でバーニヤ、左手でプリセレを操作します。キャビネットの上についているのが検波段のバーアンテナ、白いコイルは追加したアンテナコイルです。プリセレのバーアンテナはキャビネット内部に収めてます。ヘッドホンジャックのそばにあるつまみは音量調整です。内部はこんな感じです。A電池は単三、B電池は23Aが2本で24Vです。2枚目がラジオ部、3枚目がプリセレです。

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組み立ててみると、確かにラジオとしては機能してるんですが、すぐにピーピー発振してしまうような代物で、実用になりそうもありません。プリセレとの間に中途半端なシールドを入れたりしましたがダメ、プリセレの実装をやり直すことに。写真はバラした様子です。

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ついでに回路を整理してデカップリングの値を変更しました。まあ何が効いたのかはわかりませんが、組み直したらかなりまともに。前の内部写真は組み直した状態です。

DX局の受信テストをしてみると、ヘッドホンではちょっとばかり音量不足の感が。手持ちのポタアンをつけてみるといい感じになります。

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そこでもう1球6418を追加することにしました。1-V-3ということになりますが、ゲインが低いので1-V-2相当くらいでしょうか。バーニヤダイヤルの裏側にスペースを見つけて実装しました。

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コレで完成です。音量ツマミをあげすぎると発振するという問題はありますが、自分で使う分には気になりません。DX局が安定して受信できるようになりました。めでたしめでたしです。ただし、セットに組む前より広々作ったバラックの方が安定だったように思います。やはりコンパクトに組み立てすぎで色々と干渉しているようです。この辺、僕の実力不足の感は否めません。

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最後に参考までに回路図を。バーアンテナは手持ちを使ってますが、アンテナコイルの巻いてある260PFバリコン対応なら大体のものが使えると思います。検波段に「ジュンフロン線20t」という書き込みがあります。これはバーアンテナの上にAWG32くらいのジュンフロン線を20回ほどアンテナコイルがわりに巻くことを意味しています。写真で白いコイルがそれです。

出力トランスSD-108はKURAでしか手に入らないようです。いつ無くなるかわかりませんから興味のある方は「とりあえず買っておく」ことをお勧めします。A電流が130mA、B電流1mA以下なので電池も長持ち、このセットで各地の民放を楽しみました。早く日が暮れる冬場だと夕方のローカル番組が聴けて楽しいですよ。

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2022年11月 8日 (火)

「超小型」電池管再生検波ポケットラジオ

2021年1月ごろに「超小型」電池管ラジオに挑戦したハナシです。

サブミニ管をいじっていると、どうしてもどれだけ小さいラジオが作れるかが気になります。ネットを検索してみても、やはり同じ気持ちの人は多いようで、ものすごく小型で、しかもしっかりした回路構成のセットを見ることができます。それらは優れた設計技術と工作技術があってのもので、僕にはちょっと真似できそうもありません。

そこで、できる範囲で「超小型」のセットを作ってみることに。回路は前回に紹介した2球再生検波ポータブルで。完成したのがこのポケットラジオです。

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セリアで購入した画鋲のプラケース(64X44X16mm)に、回路本体、B電池23Aが2本、A電池LR44を収めました。セラミックイヤホンのプラグがスイッチを兼ねていて、差し込むと電源が入る仕掛けです。

真空管は6418。普通のサブミニ管より一回り小型です。写真手前の5678と比べてみてください。小さいだけでなく、ヒーター電流も10mAと控えめで2本使っても20mA、十分とは言えませんがLR44(100mA/hくらい)でもA電池として1〜2時間は使えます。データシートには低周波用とありますが、ラジオ周波数くらいなら高周波でも問題ないようです。

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パッケージには保証期間12ヶ月で、保証期限が1985年の8月とありますから、この真空管が製造されたのは1984年の8月ということになります。1984年と言えば、日本でもパソコンが実用期を迎え、16bitマイコンが主流になりつつある頃です。その頃にサブミニ管が生産されていたとはちょっとした驚きですね。この白箱は軍用のパッケージだそうで、当時のアメリカ軍の軍装品に使用されていたようです。

試作を経て、回路はこうなりました。6418を2本、空中配線でモジュールに仕立てます。単三電池と比べてもこのサイズですが、マイコン時代の工作技術なら難なく組めると思います。参考のため裏表の写真を載せておきます。それから出力段の6418の負荷抵抗は、回路図のメモ書きにあるとおり47Kではなく22Kの方が音が大きくなります。

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バラックで動作テストを済ませたモジュールを加工したケースに組み込みます。配置はこんな感じです。

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VRは一回り小さい12.7mmのもの、バリコンも1.7cm角のものです。ヤフオクで見つけましたがaitendoでも扱ってるようです。多連バリコンですが最大容量が260PFくらいになるよう配線してます。バーアンテナは手持ちから。前の投稿で説明したように、アンテナコイルが巻いてあれば他のバーアンテナでも使えます。再生がかからなければ再生(アンテナ)コイルの線を入れ替え、再生のかかり具合は再生コイルに直列に入っているコンデンサ(220P)で変わります。

電池ケースは入らないのでリン青銅板(0.3くらい)で接点を作りました。イヤホンのコネクタはピンソケットで、ケース裏側に貼り付けてます。イヤホンを差し込むとA,B電池のマイナス側が接続になり電源が入る趣向です。

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肝心の使い勝手ですが・・・思ったとおりあまりよろしくありません。ボディエフェクトがバリバリで、同調を取ったらダイヤルから手が離せません。あるいは、手を離した状態にアタリをつけて同調操作をする必要があります。

感度自体は申し分なく、窓際や野外ではさほど強電界でもない当地でもローカル局を外部アンテナなしでガンガン受信できます。特別に小さく作らなくとも電池管ラジオ入門用としてもいいかしれません。A電池も単四とかにすれば無理がありません。まあ「作ってみた」セット、人に見せびらかしてナンボということでブログのネタに(笑。

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なお、この6418はかなり出回っているようです。調べるとポタアンなどがよくひっかかります。入手も楽でヤフオクでも安いものなら300円程度でも手に入るようです。また、真っ暗なところではヒーターがかすかに赤く光ってるのが見えて雰囲気が良いです。

2022年7月14日 (木)

サブミニ管5678と大型バーアンテナの再生検波ポータブル

BCL受信機のパロディとも言える「BCLコンポ」はオモチャとしては最高なんですが、実用的とは言えません。もっと気楽に使えるポータブルを作ってみようというわけで生まれたのがこのラジオです。2020年夏のことでした。

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ケースはセリアで購入した筆箱サイズのタッパー。サブミニ管5678(灰色の筒)を3本、0-V-2というわけです。140mmの大型バーアンテナで感度を稼ぎ、出力はヘッドホンで。B電圧は24Vです。

BCLコンポではアルミシャーシなのでバーアンテナを外部に出しました。シャーシ内ではシールドされてしまい、アンテナとしては機能しないばかりでなく、再生もグッと弱くしかかかりません。このセットではプラケースを使い、バーアンテナを内蔵、普通のポータブルラジオらしい外観にしました。

真空管回路はインピーダンスが高いので、プラケースにセットを組んだ場合、手などを近づけた時の容量変化、いわゆるボディエフェクトが発生します。そのためバリコンに手を近づけると同調周波数が変わってしまい、ダイヤルを摘んで回しているときは同調が取れるが、手を離すとずれてしまうということになります。そこで、上右の写真のように、バリコン、回路部分とVRなどの操作パネルに0.2mm位のブリキ板を敷いて、シールドしています。もちろんこのブリキ板はGNDに接続してあります。この板もセリアの工作材料コーナーで見つけたものです。効果はバッチリでした。

実装の様子です。バーアンテナの付近はシールドしていません。ここをシールドするとアンテナとして機能しなくなります。

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回路のメモです(あくまでも製作時のメモです。定数などはほぼこの値だと思いますが、スイッチ周りなどはセットとは異なっています)。最初は左のメモにある2球ラジオのバラックを製作、BCLコンポと同じくICアンプでヘッドホンを鳴らそうかと思いましたが、やはりオール真空管でということで、右の回路を追加しました。赤枠の抵抗をAカーブのVRにして音量調整しています。A電池アルカリ単三で10時間くらい、B電池23A二つで50時間以上は使えると思います。

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部品の補足です。サブミニ管5678はヒーターの3番ピンがシールド(灰色のコーティング)に接続されてるので、回路図の3と5を入れ替えた方がいいでしょう(回路メモにもそういう書き込みをしてますね)。この真空管は、2022年7月現在、ヤフオクに多く出品されています。「5678」で検索をかけてみてください。バーアンテナはスーパー用のAR-140S、KURAやヤフオクで入手できます。組み合わせるバリコンはスーパー用の150P+70P2連の片側を使います。出力トランスSD-108は10K:8Ωという真空管規格でサイズはSTトランスサイズという変わり種。いまのところKURAでしか手に入らないようです。

元ネタは50年代末の「模型とラジオ」に掲載されていた、少年向けポータブルの回路です。当時はポピュラーな構成だったようで、同工異曲な製作記事がいくつもあります。

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使ってみると、さすがにスーパーには敵いませんが、大型バーアンテナの効果絶大で、窓際ならば結構な感度でローカル局が入感します。このように使えばボディエフェクトもほとんどありません。音量音質とも良好で、さすが1球追加しただけのことはあります。

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窓際から離れて、2mほど奥まったリビングの「定位置」で「ラジオ深夜便」を聞いてみましたが、さすがにちょっと電波が弱いようでした。電波が弱いとかなり同調がシビアです。同調ツマミと再生ツマミを細かく調整しないと、再生検波特有のボイスチェンジャーをかけたような音声になってしまいます。減速機構かバンドスプレッドが欲しいところです。

おおむね、初期の目標は達成ということで、めでたく本プロジェクトは終了となりました。今でもローカル線の待ち合わせ時間がありそうなときなどは、カバンに忍ばせて、ホームのベンチで聴くことがあります。変なやつだと思われているのでしょうが(笑)

2022年7月 1日 (金)

電池管マイブーム到来

前の投稿で本格的(かなあ)に電池管をいじってみて、興味が再燃しました。実はリタイアしたらまた真空管セットをこしらえてみたい、それも小中学生が作るようなセットを、と考えていました。ところが、実際に作ってみると、この投稿のように電灯線電源のセット(特にラジオ)は他のコンセントに差したスイッチング電源からのノイズに敏感で、作っても気楽に楽しめない、という状態でした。その点、電池管セットはコンセントに接続しないので、その影響は少なそう、気楽に楽しめるのではないでしょうか。

さらに、日本各地の民放AMラジオ局が近い将来停波の可能性があるという報道もあり、これは早いうちに始めないとという気持ちも強くなりました。

そこで2020年の春に、電子カメを作った時に集めた電池管の中から、3A5というMTサイズの双三極管でバラックラジオを組んでみました。3A5を使ったのは1球で0-V-1が構成できるからです。どうせ作るならコンパクトなセットを作りたいという色気もありまして。

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バーアンテナのアンテナコイル部を再生コイルとした再生検波です。最適設計ではないでしょうが再生はスムーズにかかりました。ただ無信号時に再生VRを回しても0-V-2のようにギャーと発振しません。放送を受信して初めてぴゅーと発振する感じです。検波段が三極管でゲインが低いせいでしょうか。もっとも再生のかかり具合は問題ないようなのでそのまま使っています。また、思った通り電灯線からのノイズはありません。そのためS/Nがいいので弱い電波も明瞭です。まあなんとかなりそうということで、小型のセットにまとめました。

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手のひらに乗るくらいのアルミケースに真空管ラジオらしく組み立てました。23Aが2本でB電圧24V、ヒーターは単三1本です。黄色いピンジャックには外部アンテナとアースを接続します。バーアンテナですから、窓際ならローカル局はアンテナ接続なしで受信できますが、感度は1石レフレックスより劣るようです。ただ、再生検波なので選択度はかなりなもので、減速機構なしのダイヤルではチューニングが難しいです。

面白いのは、電池管のカソードはフィラメントそのものなので、セットにショックを与えると、フィラメントが振動し、ちょうどエレキギターの弦のような感じでポーンという音がイヤホンから出ることです。以前持っていた電池管ポータブルもそうでしたが、メカ的な工夫が施してあったせいか、このセットの方が顕著な感じです。

ラジオ工作用に設置したアンテナはベランダに張った7mほどのロングワイヤ、地上高7mくらいで東西指向性です。アースはベランダの手すりに接続しました。これくらいの環境を整えてやると強力なローカル局ばかりではなく、夜間には遠距離局と思しき信号がかすかに入感します。こうなると、もう少しゲインを稼ぎたい欲が出てきました。そこで作ったのがこのアンプスピーカーです。

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最初はここも真空管でと思いましたが、どうしてもセットが大きくなってしまうので諦めました。素直に秋月電子で入手したBU7150を使って電池1本でヘッドホンを鳴らします。スピーカーはおまけで、セットをそれらしくするためです。1.5Vでは大して大きな音は出ません。

このアンプの効果は絶大で、ヘッドホンを使うと、何か言ってるようだなという程度だった放送の内容が聞き取れるようになりました。当地栃木でラジオ大阪やHBC(北海道)などがかろうじて受信できたのはちょっとした驚きでした。

こうなるとさらに欲がでます。もう少し安定に受信したいというわけで、プリセレクタを作ってみました。

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プリセレクタとは同調型の高周波増幅器です。中身は右のようにトランジスタ1石の簡単な構成です。左のピンジャックにアンテナとアースを接続、右のピンジャックでラジオのアンテナアースと接続します。

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もうこれは立派な受信システム。というわけで「BCLコンポ」と命名しました(笑)。プリセレのおかげで入感の弱い局にチューニングするのがやりやすくなりました。とはいえ、操作は実にデリケートで、ラジオのチューニング、プリセレのチューニング、再生VRを事細かに調整しないといけません。プリセレをオンにしているとブーと大きな音で発振することもあり、ヘッドホンをしているとびっくりします。ラジオとしては失格ですが、おもちゃとしては、意外に遠くの局が受かることもあるので面白いと思います。

最後に試作機のラジオ本体、プリセレの回路図メモを公開します。ラジオ本体はあまりお勧めできません。単体での感度がよくないし、再生VRを回すと、受信周波数が若干かわるといった本質的な問題もあります。(ただ、これは慣れてくるとバンドスプレッドみたいに使えて便利なこともあります)

また、アンテナ回路は回路図のように100PFで切ってグリッドに繋いでいるのではなく、写真のようにコイルの上にAWG30のジュンフロン線(赤いワイヤ)を20ターンほど巻き付けてアンテナコイルとしています。バーアンテナはいずれもSL-45GTですが、現在入手可能なSL-41GTで代用できます。また、他のバーアンテナでもアンテナコイルの巻いてあるものなら使えるとおもいます。

プリセレの出力にある100PFの結合コンデンサは次段のラジオ次第で調整の必要ありです。再生がかからなくなったりしたら小さくしてみてください。なお、試作過程で定数などは若干変更しているかもしれません。

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さて、これでセットは完成、いつもと同じくお蔵入り・・・のはずでしたが、作ってみるとなかなか面白く、どうやらマイブームの始まりのようです。すぐに「もっといい」再生検波ラジオが作りたくなってしまいました。その話はまた別の投稿で。

2022年6月27日 (月)

グレイ・ウォルターの真空管式電子カメを作ってみる

グレイ・ウォルターのMachina Speculatrixを当時の回路に近い形で作ってみました。「電子カメ」とも言われるごく初期の、そしてエポックメイキングな自律ロボットです。

以前の投稿でMachina Speculatrixについては簡単に説明しています。この投稿の最初の部分です。

僕は、中学生の時に子供向け科学書で「電子カメ」を知り、ぜひ作ってみたいと思いました。やがて高校生の時に、動作や回路の解説が掲載されてるCybernetic Machinesという洋書を丸善で見つけ、ずいぶん高かった(4K円くらい)けど思い切って購入、その情報をもとに、cdsとトランジスタでレプリカを作りました。

それは食パンケースをボディにし、マブチモーターを動力源にしたもので、一応動作しました。当時は3畳間の下宿暮らし、動かす場所も限られてたので、スポーツバッグに潜ませて学校に早出し、他の生徒が来る前に教室でテストしたりしました(笑)

それから40余年、光電管が手に入ったのを機に、オリジナルに近い電子カメの製作に着手しました。2018年の夏のことです。

中身を解説するとなると、長編投稿になってしまうので、今回は簡単に紹介するにとどめます。まずは外観。ボディは百均セリアのミニ米櫃。3枚目の写真はオリジナルの中身です。よく似ているでしょう。オリジナルよりはだいぶ小さいと思います。

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光電管カバーを外したところ。測定器などに使われた真空光電管PV13。2本の電池管は3Q4です。

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車体裏の駆動機構と電源。B電池として23Aが4本、A電池と動力、光電管用は6Vのシールドバッテリ。

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動画です。窓際が明るいのでそちらへ向かって進行します。後部で点滅している電球は、二つあるリレーのインジケータです。障害物に当たった時に交互に点滅するのは、2本の真空管をマルチバイブレータとして動作させ、旋回と駆動を交互に行って脱出行動としているからです。

 

カットアンドトライで動くようになった回路。残念ながら、この回路に必要なコイル抵抗10Kくらいの高感度リレーが入手できず、FETと通常の6Vリレーを組み合わせて使ってます。この点が心残り。いずれリレーを探して完全版にしたいと考えてます。

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これまでの投稿にあるように、小中学生の頃真空管セットは作りましたが、よく理解していたわけではないので、あらためてやってみると動作点とかの感どころが掴めません。この回路も色々とツッコミどころがあります。いずれ別の投稿で詳しく説明したいと考えてます。

2022年6月14日 (火)

【昔語り11】電池で使える真空管

1970年代に入ったばかりの頃、気になる製作記事に出会いました。泉弘志さんの「図解エレクトロニクス製作集」に掲載なったものです。

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真空管の特性を活かした静電気メーターです。興味を持ったのは、真空管式なのに電池で動作しているところです。真空管は電灯線、と、いう固定概念をもっていたので、この電池で動くサブミニ管なるものを是非手に入れてみたい、と思いました。とはいえ、記事にもあるように電池管はその当時でも「昔なつかしい」もので、簡単に手に入りそうになく、また、他にサブミニ管を使った製作記事もなかったので、熱はすぐに冷めてしまいました。

再び電池管に出会ったのは十数年後の1980年代中頃のことです。当時住んでいた国分寺の骨董店で古い真空管ポータブルラジオを衝動買いしてしまいました。

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このセットの電池管はサブミニ管ではなく普通のMT管で、AC-DCの2ウェイで電池駆動も可能なタイプでした。ACで良く鳴りますが、やはり、電池でも鳴らしてみたいわけです。ヒーター用A電池は単一なので問題ないとしても、問題はB電池、BL-145という67.5Vの積層電池が必要、聞いたこともない型番です。とりあえず、ダメ元でアキバで探してみることにしました。

当時、ラジオ会館の向かいからガード下に入る路地の入り口付近に、充電池などの特殊な電池を扱っている店がありました。シーズンになると、クリスマス電球をずらりと並べるような何でも屋で、残念ながら店名は覚えていません。そこをのぞいてみると、なんと、さまざまなB電池が普通に置いてあるではありませんか。お目当てのBL-145は2000円くらいだったかな、結構いい値段でしたが即購入しました。

念願の電池動作というわけですが、鳴らしてみれば普通のラジオで(当たり前ですが)とくに感慨もなく、それ以降、B電池を買うこともありませんでした。

それからさらに40年、再び電池管がマイブームになるのですが、それはまた別の投稿で。

2022年5月 8日 (日)

昔の深夜放送をラジオで聴くには

「深夜放送」という言葉は、単なる「夜中のラジオ番組」ではなく、「深夜の若者向け生放送番組」を意味しています。もう死語なんだろうなと思ってましたが、まだ「オールナイトニッポン」は放送中で、まだまだ現役の言葉のようです。もっとも最近はヤングだけのものではなく「ラジオ深夜便」のおかげでシニア層の愛好家も多いようですが。

1960年代、娯楽のチャンピオンの座をテレビに奪われた感のあるラジオですが、トランジスタの普及で価格が下がったこともあり、一人に一台のパーソナルメディアとして定着しつつありました。それを加速したのが、60年代末から始まった「深夜放送」のブームでした。当時、中高生(少なくとも高校生)は夕食後、机に向かって勉強するのが普通で(今も?)、勉強中「ながら聴取」するのが深夜放送だったのです。1970年代には各局が看板番組を持ち、パーソナリティの人気はスター並みという黄金時代を迎えました。

僕は1970年に中学入学、1980年に大学卒業なので、まさに深夜放送とともに青春を送った世代と言えるでしょう。本格的に聴き始めたのは高校受験を控えた1972年だったと思います。最初のうちは愛川欽也さんのパックインミュージック、その後ナッチャコパック一本槍に。「ながら聴取」とは名ばかりで、放送中は勉強そっちのけで聴き入っていました。当時は金曜1〜3時で、流石に全部聴くと翌日眠くて大変でした。本当になにやってんだかですね。

そういう世代向けに、近年、当時の放送そのままのCD商品が発売されています。生放送ですから局にテープなどあるはずもなく、熱心なファンが録音したテープからマスタリングしたものです。下の写真は「ナッチャコパック」の1972〜74年くらいの放送からピックアップしたCDです。夢中になってた時期とピタリ重なるので、僕のために商品化してくれたのではないかと思えるほどです。

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これをオーディオセットで聴いてみたのですが、ちょっと違和感が。もともとラジオの音声を録音したものではあるのですが、マスタリングの処理か、あるいはオーディオセットの性能が良すぎるのか、ともかくラジオで聴いてる気分になれません。ならば、本当にラジオから音が出るようにしてしまえば、あの頃の気分に浸れるのではないかということで、試作を始めました。

CDプレーヤーやスマホのヘッドホン出力を、AMラジオに飛ばすワイヤレスマイクを作ればいいわけです。最初の試作機はトランジスタ2石、トランス変調で高音質を狙ったロッドアンテナ付きのセットでした。送信機は部屋の隅にでも設置し、作業机のラジオで放送を聴こうというわけです。作ってみると、電波法の範囲では、キレイに受信できる距離が1mくらいまでで、結局、作業机の上に送信機も置かなければなりませんでした。セットが大きいので結構邪魔です。

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そこで、送信機のごく近くにラジオを置くスタイルのセットを作ってみました。この動画のように使います。

100均で購入した写真立ての裏側に1石の送信機を貼り付けたものです。CDプレーヤーなどを接続し、ラジオをごく近くに置いて使います。これなら机に置いても邪魔になりません。動画ではスマホを繋いでyoutubeにあるナッチャコパックの録音を放送しています。

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本機の回路図です。泉弘志さんの「1石ワイヤレスマイク」の回路をヘッドホンから入力できるよう変更しました。

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こちらが泉弘志さんオリジナルの回路です。

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オリジナルの発振コイルはオールドファンにはお馴染みのNo.88コイルですが、現在は入手できません。代用品としてスーパー用の局発コイルを使いました。インダクタンスがほぼ同じなのでそのまま使えます。まだマルツオンラインKURAネットショップなどで購入可能です。ただし、取り付け時に足を曲げると断線しやすいので、曲げずに使ったほうがいいでしょう。また、この回路ではタップは使ってないので1、3ピンは反対に接続しても大丈夫です。

トランジスタはオリジナルどおりシルクハット型の2SC372ですが、これはレトロ趣味で使っているだけで、お馴染みの2SC1815で代用できます。これもデスコンですが、今でも秋月電子などで互換品が入手できます。2SC372もヤフオクにはよく出ています。

入力ボリュームはAカーブのもの。変調レベルがシビアなのでBカーブだと調整が大変です。手持ちに50KAがたくさんあったのでこれを使いました。他の値でも大丈夫だと思います。手持ちを試してみてください。CDプレーヤーやスマホの音量は大きめにして、本機のボリュームで音が歪まないよう調整します。

電源は100均のアルカリ006Pです。電流は無信号時に3mAくらいなので100時間以上使える計算です。

平ラグに回路を組み、写真立ての裏にホットメルトで固定しました。緑のワイヤはアンテナ線です。周波数は低く、電気的に干渉する部品もないので、部品配置は比較的自由です。普通にユニバーサル基板でも問題ないでしょう。

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発振コイルのコアをドライバで回すことで周波数の調整ができます。試作機では調整範囲が1100-1400KHzでした。当地では1500KHzくらいにローカル局があるのでこの辺にしています。周波数はコイルとC4,C5の容量で決まるので、150PFを100PFにすれば周波数を上にずらせます。在京民放局が入るエリアではもう少し上の方がいいでしょう。

夜中にこのセットでぼーっとラジオを聴いていると、70年代にタイムスリップしたような不思議な気分になることがあります。大袈裟に言えば、一種のバーチャルリアリティの装置ということもできるのではないかと思います(笑)

2022年5月 1日 (日)

レーザー距離センサVL53L0Xを複数使うには

花岡ちゃんのウィークエンド:

以前の投稿で、PIC24FでのVL53L0Xの使い方について説明しました。この時はI2CバスにVL53L0X一つだけを接続する使い方でしたが、今回は一つのI2Cバスに複数のVL53L0Xを接続する方法を解説します。以前の投稿のプログラムをベースにしてますので、こちらから始まる一連の投稿に目を通してから読んでください。

VL53L0XはI2C接続されるのでデフォルトのアドレスは0x29(7bit)となっています。このデバイスにはEEPメモリのようなアドレスを変更するピンはないので、起動時には全て0x29となってしまいます。その代わり、アドレスを変更するコマンドがあり、これで任意のアドレスを割り当てられるようになっています。ただし、割り当てたアドレスは電源を切ると初期値(0x29)に戻ってしまうので、起動時に毎回設定してやる必要があります。

接続はこの回路図のようにします。A,B二つのVL53L0Xを一つのI2Cバスに接続し、各デバイスのXSHUTピンをそれぞれマイコンのGPIOに接続します。

ダウンロード - hanaoka_vl53l0x_multi.pdf

XSHUTはリセットと同様に働く入力ピンで、これをLにするとVL53L0Xはデゼーブルになり、I2Cにも反応しなくなります。これを利用し、一つのVL53L0Xだけを有効にし、アドレスを設定していきます。

2個のVL53L0Xを使用する場合のプロジェクトを公開します。以前公開したものをベースにマルチ化したものですが、コンテニュアスモードだけがマルチに対応しています。シングルモードでは使えません。この点、注意してください。(作業を簡素化したためです。もちろんシングルモードでも複数のセンサを扱うことができます。)

ダウンロード - pic24f_vl53l0x_multi.x.zip

669行からがA,B二つのセンサに0x2A,0x2Bのアドレスを割り付け、コンテニュアスモードで初期化する部分です。測定値の読み出しかたは、690行あたりを見てください。VL53L0XのAPI(readRangeContinuousMillimeters()など)の実行前に、それぞれに割り当てたアドレスの指定が追加されています。

このようにA,Bセンサの値を読み出せます。

アドレスの割り当ては、次のような手順で行なっています。

1・全てのXSHUTをLにしてデゼーブルに

2・最初の一つのXSHUTをH、デフォルトアドレス(0x29)でアドレス変更APIを実行

3・次のXSHUTをH、デフォルトアドレス(0x29)でアドレス変更APIを実行

このように一つずつVL53L0Xをイネーブルにしてアドレスを変更する作業を、全てのVL53L0Xについて行えばよいわけです。

 

 

 

2022年4月28日 (木)

【昔語り10】電子工作の「伝道師」泉弘志さんのこと

アキバ昔語り:

1960年代中頃、当時小学生だった僕は「子供の科学」を毎月買ってもらってました。月1回、父親が仕事帰りに買ってきてくれるのが待ち遠しかったのを覚えています。読み始めたのは小学3年生の時、思えば、これがラジオ工作との出会いでした。

製作記事の中で特に気に入ったのが、軽妙な文体とわかりやすいイラストの1〜2石程度の簡単なラジオ製作記事でした。著者名には「泉弘志」とありましたが、なんと読むかはわかりませんでした。下の誠文堂新光社の「図解1−2石ラジオ製作集」の巻頭記事のスキャンデータをご覧になれば、これか、と思い出す人もいるのではないかと思います。

ダウンロード - izumihirosh.pdf

この記事は巻頭記事ということで特別に丁寧に書き下ろされたものだと思います。実際の部品を配線図と対比する形に並べたり、注釈にイラストを入れたりと初心者にわかりやすい内容になっているでしょう。また、記事の文体も柔らかく読みやすいですね。泉弘志さんの製作記事は、「子供の科学」「初歩のラジオ」「模型とラジオ(版元は科学教材社)」といった誠文堂新光社系の雑誌に載ってました。

当時は、文章を書いてるのが泉弘志さんで、イラストは別の人が描いてると思ってましたが、60年代末くらいから下記のようにクレジットされるようになり、イラストも泉さんということがハッキリしました。写真は1970年の「模型とラジオ」5月号からです。

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手持ちの古本を確認したところ、この3冊が泉弘志さんの製作集でした。いずれも「初歩のラジオ」「子供の科学」に掲載された記事をまとめた本で、60年代末から70年代中頃に出版されたものです。

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このように数多くの入門者向け記事を書かなければならないとすると、どうしても同じようなコンテンツが多くなってしまうのはやむを得ないでしょう。マンネリを打開するためか、泉弘志さんはいろいろな変わり種セットを考案しています。例えばラジオなら、マッチ箱に組む超小型もの、60年代に流行っていた様々な形のお菓子のプラケース(現在も「チョコベビー」は現役のようです)に組むもの、さらには上の写真にも写ってますがプロペラを選曲つまみにしたヒコーキ型までありました。いずれも少年の工作ゴコロをくすぐるものだったと思います。

その中でこれは、というのが「サンダーバード型 電子おやすみ器」です。これは1968年の「子供の科学」8月号に掲載されました。

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当時人気だったイマイのミニ・サンダーバード2号のプラモデルの中にセットを組み込んでしまうというのは、僕にとっては、いろんな意味で衝撃的なアイデアでした。なんといっても当時はプラモデルだけで立派な遊び道具だったわけで、それを惜しげもなくキャビネットとして使うわけですから、大人の人の考え方はすごいなと変なところで感心したりしました。ちなみに「おやすみ器」というのはポツンポツンという雨垂れのような音を発生する機械で、寝付けないときにそれを聴いているうちに眠ってしまうというものです。実際に効くのかどうかは分かりません。

調べたところによると、泉弘志さんは終戦間もない1948年(昭和23年)、創刊したばかりの「初歩のラジオ」に執筆を始め、1999年の「子供の科学」をもって引退、その後2003年末に76歳で鬼籍に入られたとあります。まさにエレクトロニクス時代と共に生き、そして数多くの子供たちをエレクトロニクスの世界へ導いた「伝道師」といえるでしょう。

最後に、また古本の中から、1949年の「初歩のラジオ」8月号の記事(泉弘志さん19歳!)を紹介しましょう。当時の初ラは、写真の通り、小さく、紙質もよくありません。季節感あふれる表紙絵は、海洋船舶画の名手、飯塚羚児画伯です。

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記事は入門者向け再生検波短波ラジオの作り方です。記事の最後にもありますが、この頃はまだ民放ラジオはなく、短波で聴く外国の放送を楽しんでいた人も多かったようです。面白いのはUY-76という三極管を2本使っているうち、1本をわざわざ二極接続としてB電源の整流用にしていることです。普通なれば12Fなどの整流管を使うところで、同号の他の製作記事ではみんな12Fです。これは、入手しやすいUY-76だけでセットを構成するためだったのではないでしょうか。UY-76は、旧日本軍の無線機に多用されていたので、戦後の一時期、新品も中古も安く流通していたという話をどこかで読んだことがあります。こういうところにも、泉弘志さんのラジオ初心者への配慮を感じます。(前年の10月号にも泉さんの記事はあったのですが、真空管回路の解説で、製作記事ではなかったので、こちらを紹介しておきます。)

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タイトル左のイラストは、タッチが異なるので泉さんの筆になるものではないと思います。編集部が用意したカットでしょう。2枚目の写真の実体配線図を拡大すると、すでに泉さんのお茶目なセンスが発揮されていることがわかると思います。アンテナ線の先っぽに風船がついているのは、この投稿の最初に載せたpdfの4ページにもありますね。

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2022年4月14日 (木)

PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(おしまい)

花岡ちゃんのウィークエンド:

VL53L0Xを使う際の注意点です。

 

1:実用測距性能は1mちょっと

VL53L0Xを使ったモジュールの謳い文句に「最大測定距離 2m」とよくありますが、これはあくまでも最大です。設定毎に下記のような制限があります。スペックでよくある控えめな数値というわけではなく、実際やってみるとほんとにこんな感じです。long rangeでは使ったことがないのでどの程度明るさ(日中の窓際など)の影響を受けるかはわかりません。

Range

 

2:レーザー光は円錐状に放射されてる

使う前は、レーザーというくらいだから、レーザーポインターのようにピンポイントで測定しているのかなと思ってましたが大違い。実際は次の図のように円錐形に広がっているそうです。

Rad

そのため、成形品の内側に置いて測定用の窓を開ける場合は注意が必要です。下の写真はこれを使ったある商品のセンサ部分です。白い部分が成形品で、そこから5mmくらい奥まったところにセンサを設置してます。これは試作段階なので測定窓がだいぶ大きいですが、量産版では色々工夫してこれより小さくできたとはいえ、結構大きな開口部が必要で、見た目が悪くなってしまいました。大きくしないと成形品にレーザーが当たって反射してしまうからです。設計段階では開口部がこれほど必要とは思わずに、生産上の都合からかなり奥まった位置にセンサ基板を置いてしまったのが敗因。センサはなるべく成形品ギリギリにしたほうが良いです。

Sensor

これはまた移動ロボットのセンサに使うときにも重要で、次の写真のように床面からかなり高い位置にセンサをつけないと、放射状に広がったレーザーが床面に反射し、前方に障害物があるように反応してしまいます。この試作機では150mmも持ち上げないと、畳の上で安定に使えませんでした。この点はPSDに分があるようです。これほどシビアではありません。

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この辺りに気をつければ、このセンサは大変に使い良く、安定です。いろいろなモードがありますが、実際に使うには、コンテニュアスモードでなるべく早い周期でデータを取得し、マイコン側で移動平均を取るなどして安定化させるのがよいと思います。

最後に重要な注意を。センサの表面の薄黄色の保護シートの剥がし忘れに注意してください。一応動作してしまうけど、本来の性能は出ていないので、なんだこりゃということになります。特に量産時には注意が必要です。

今回のウィークエンドはこれでおしまいです。複数のVL53L0Xを使う方法については、実際にやっているので、近いうちに別の投稿で解説したいと思います。

2022年4月13日 (水)

【訂正!】PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う

花岡ちゃんのウィークエンド:

動作には問題ないですが、ソースコードに間違いがありました。投稿に訂正を入れましたので、こちらを確認してください。

PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(その3)

花岡ちゃんのウィークエンド:

 

まずVL53L0Xの測定モードの説明です。次の二つのモードがあります。

1:コンテニュアス

デバイスは連続的に測定を繰り返し、読み出しコマンドを実行するとレジスタにある直近の測定値を返します。使いやすいモードで、僕はもっぱらこれを使っています。デフォルトでは30msごとに測定をおこなっているようです。このモードでは、デバイスは常に20mA程度(実測値)の電流を消費しています。

プロジェクトではCONTINUOUSモードを選択(デフォルト)すると、50msごとに直近の測定結果を表示します。

2:シングル

読み出しコマンドを実行すると、測定プロセスをスタートさせ、レジスタにある前回の測定結果を返します。注意すべきなのは、コマンド発行時点の測定値を知りたい場合は、測定時間経過後にもう1度読み出しコマンドを発行しなければならないことです。最初のコマンドの時読み出されるのは「前回の」測定結果だからです。このモードはたとえば3秒毎の測定で十分な場合など、測定時以外はデバイスを低消費状態(実測で350uA程度)に置けるので、消費電力を倹約することができます。

プロジェクトではSINGLEモードを選択すると、3秒おきにセンサを起動し、測定時間を空けて2回読み込むことでそのときの測定結果を表示します。

 

次にプロジェクトでモードを切り替える方法です。

モードの切り替えはmain.cの35行からの「プログラムスイッチ」で#defineを有効にしたりコメントアウトして無効にしたりして行います。ソースコードを読んでもらえばやり方はわかると思います。

HIGH_SPEEDやHIGH_ACCURACY、LONG_RANGEなどのセンサの感度調整はSINGLEモードでのみ使えるようになっていますが、実際はコンテニュアスでも使えます。643行のstartContinuous(0);の前にsetHighAccracyVL53();などを挿入すると、その設定で測定を繰り返します。ただし、測定時間もそれに応じて変わるので、setHighAccracyVL53();ならば200ms周期での結果更新になります。50ms毎に読み出しても、4回は同じ値が入ってくる勘定になります。その際は読み出し周期を設定に合わせて調整する必要があります。

 

最後にプロジェクトの構成です。

VL53L0X.cがドライバのソースコードです。そのヘッダファイルがVL53L0X.hです。main.cではこれをインクルードしています。main.cはプログラムの本体でI2Cや液晶用のドライバなどもこれに記述されてます。I2C関係の関数と、呼ばれると起動後からの時間をmsで返す関数millis();を定義したmain.hがあり、VL53L0X.cはこれをインクルードしている構成になっています。

簡単なプロジェクトなら、main.cを改造して作ることができると思います。


次回はセンサを使う上での注意点などを解説します。

2022年4月12日 (火)

PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(その2)

花岡ちゃんのウィークエンド:

MPLAB Xのプロジェクトファイルを公開します。開発環境はMacOS12.2.1、MPLAB X IDE V5.50、XC16(V1.61)、PicKit3です。

まずは実験機の回路図です。マイコンはPIC24FJ64GA002です。

ダウンロード - hanaoka_vl53l0x.pdf

VL53L0Xのモジュールは他のものでも使えます。ただしXSHUTがモジュール内部でプルアップされている必要があります。ほとんどのモジュールはそうなっていると思います。

LCDモジュールは秋月電子のAE-AQM0802です。これがなくとも動作はしますが何をやってるかわかりません。

電源電圧は3.3Vです。もっともあまりシビアではないので乾電池2本直結で十分動作します。

 

プロジェクトファイルです。

ダウンロード - pic24f_vl53l0x.x.zip

マックで開発してますので文字コードなどWindowsと異なる可能性もあります。文字化けしたらプロパティを確認してください。

訂正です。1ms単位での経過時間関数 millis();が100ms単位になっていました。使っていないTimeOutがらみなのでそれでも問題ないですが、正しくないので修正しました。こちらのプロジェクトを使ってください。

ダウンロード - pic24f_vl53l0x_1.x.zip

 

 

そのままビルドして動作させた時の動画です。

小さいブレットボードにセンサが上向けに固定されており、手のひらをかざして動かすと液晶の数字が変わります。これはセンサから手のひらまでの距離をmmで表示しています。センサを「コンテニュアスモード」で動作させており、距離データを50ms毎に読み出しています。センサからデータを読みだすときLEDが点灯するようになっています。

 

次回はプログラムの中身を説明します。

2022年4月11日 (月)

PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(その1)

花岡ちゃんのウィークエンド:

以前、このカテゴリーでマイクロチップの16bitマイコン、PIC24Fシリーズにいろいろなデバイスを接続してみました。その続編です。今回はレーザー測距センサVL53L0XをI2Cで接続します。実はかなり前に(2017年)に製作したのですが、ブログを休止していたため、公開していませんでした。

STマイクロのVL53L0Xは、測距センサの定番PSDと比較して非常に小型で消費電力も少ないです。PSDが三角測量なのに対し、レーザーの飛行時間を計測するタイプで精度も高く、何も考えずに使っても、cm単位でなら安定な計測ができます。また、直接mmで測距結果を読み出せるのも、手抜き派の僕にとってはありがたいですね。

足のない面実装の部品なので試作用に実装するのは大変ですが、モジュールがたくさん出ているのでそれを使えば簡単です。僕がよく使っているのはAmazonで購入できる写真のものです。

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このモジュールは小さいので試作品に載せやすく、また値段が安いのもフリーランスの開発者としてはありがたいです。もっとも最近は「半導体の逼迫」のせいかだいぶ高くなってるようですが。

ただ、I2Cで指定のレジスタを読めば距離データが取得できる、という簡単な構造ではなく、専用のドライバソフトからアクセスしないといけません。本来はSTマイクロから提供されているCのライブラリを利用するのですが、今回のものは当時(2017年)のArduino用のcppライブラリをベースに作成しています。センサについてあまり知識がなかったので、とにかく実際に動いているものをお手本にしたわけです。その後、幾つものプロジェクトで使い、特に問題はありませんでしたが、そういう素性のコードなので、センサの性能が100%発揮できてるかどうかは保証できません。

次回は、mplabXのプロジェクトを公開します。

2022年3月 6日 (日)

【昔語り9】マイコン雑誌「I/O」の頃(おしまい)

アキバ昔語り。マイコン雑誌「I/O」の最終回です。

ミニコミ誌と聞いて、ああ懐かしいと思う人は、だいぶんお年を召されてるでしょうね。僕も同類です(笑)

70年代初頭、マスコミに相対する言葉として使われ始めた言葉、ある地域に関する話題を集めた発行物といったような位置付けだったと思います。当時僕は中学生、はっきりした記憶はないですが、ぺらぺらでイラストマップがあるもの、というような印象をもってました。イラストマップとは、この喫茶店はいごこちがいいとかいったプチ情報が、ポップなイラストの地図上に描き文字で記載された記事のことです。

こんなものがI/Oの名物記事にもありました。これも同じく1977年4月号からです。

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当時の秋葉原でのマイコン関連ショップの地図です。これはこのような記事とセットになっていました。本文中の「信越電機商会」とは今の秋月の前身です。ねんのため。

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月刊誌というのんびりした媒体でのお買い得情報がどれほど役に立ったかはわかりません。この記事を見て何かを買いに行った記憶もありません。ただ、地方在住の人にはアキバの空気が感じられる記事だったのではないでしょうか。

もう一つ、ミニコミ誌というより、ミニコミから生まれた商業誌ではおなじみの「はみだし投稿欄」です。紙面の端っこに読者からの短い投稿を載せるあれです。ぴあの「はみだし」といえば分かるかたも多いのでは。

翌年1978年あたりからI/Oにもこんな感じではみだしが載るようになりました。これは1978年11月号からです。

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この号ではありませんが、このはみだしで、「中学で同級だった〇〇くん(僕の名前です)、Z80マイコンを作ったけど動かないので教えてもらえませんか?連絡をください」というような投稿を見つけてびっくりしたことがあります。1年間だけ通った東京の中学校の同級生、電話番号が書いてあった(当時はそんなのもありでした)のか、はたまた卒アルで調べたのか覚えていないですが、早速電話してみると、ロジックICを使ってロボットみたいなものを作ってたのを覚えていて、絶対マイコン青年(笑)になってるはず、ということで投稿したとのこと。まさが返事があるとは思ってなかったようで、向こうも驚いていました。三鷹台のアパートまで来てもらって、彼の作った最小構成のZ80マイコンボードを動くようにしました。

I/O黎明期の話はこれでおしまいです。MZ-80やPC-8001が発売になり、本格的なマイコンブームが起こる少し前のお話でした。

 

2022年2月24日 (木)

【昔語り9】マイコン雑誌「I/O」の頃(その2)

アキバ昔語り。今回はマイコン雑誌「I/O」の続きです。

前回紹介した1977年4月号の目次です。

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アマチュアにとってマイコンは作る時代ですね。自作マイコンか各社から出ていたTK-80のような評価キットにVRAMを組み合わせ、当時ブームだったTVゲームをしたい、という気持ちが伝わってくるようです。

そのTVゲーム、目次に「GIのTVゲーム」とあるように、TVゲーム専用のチップがでていました。もちろん、まだインベーダーに侵略される前で、素朴なピンポンゲームとかの時代です。ゲームセンターにはブロック崩しや風船割りのような、明らかにコンピュータを使ったものもありましたが、家庭用はそのような専用チップを使っていました。

アキバではGIなどの専用チップを使った、ゲームキットも販売されていたのを覚えています。そういうチップは、トランジスタ数のかさむマイコン方式ではなく、専用回路で起こしたものだったようです。トランジスタ技術などでタイマーIC、NE555と若干のCMOSロジックを使ったTVに表示するオシロスコープの製作記事があったのを覚えています。そんなふうにアナログ/デジタル混在でTV画面上に線を引いたり、光点を動かしたりする回路を作り、それをIC化したものだと思います。

ミュージックシンセサイザの記事も初期のI/Oには多く掲載されました。ここでのシンセサイザは電圧でパラメータを制御できる発振器やフィルタ、アンプなどを組み合わせた「アナログ シンセサイザ」です。当時はシンセサイザといえば、普通の人は冨田勲さんのような多重録音やシーケンサを使った壮大なもの、先進的な人たちはクラフトワークとかのテクノポップという感じでした。YMOでテクノが一般化する前です。

これはその頃発売なったローランドのSYSTEM-100Mというモジュールタイプのシンセサイザです。80年代後半〜90年代くらいはブームの去った商品なので質流店あたりで中古を安く手に入れられたのですが、いまではずいぶん高値になってしまいました。そのころぼちぼちと揃えたものです。整備しながら遊んでますが、なかなか手がかかります。

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I/O誌のシンセサイザ自体の製作記事というのはあまり記憶がなく、シンセサイザとマイコンをつないで自動演奏というのが多かったと思います。まだ「打ち込み」という言葉がない時代でした。(プロの音楽家の間では使われていたようですが)アナログシンセは自作するのも大変で、使い物になるレベルのものはなかなか作れませんでした。僕も1983年くらいに「ムーグのパチモン」のようなモジュールタイプのシンセを作ったことがありますが、VCOの調律に苦労した記憶があります。そういうわけか、これもだんだんAY3-8500というマイコンにつなげるPSGやFM音源などの記事にシフトしていきました。

今回はここまで、次回は「ミニコミ誌」としてのI/Oの話です。

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