Coronの電源問題まとめ
ちょこっとCoron:ねずー製作記
前の記事がちょっとごちゃごちゃしていたので、ここでいったんまとめておこうという訳です。
まず、かかえていた問題点を整理すると
●モーターの回り出し時にセンサの値がおかしくなるようだ
という事になります。この時の状況を計測すると次の事実が出てきます。
●センサの値をオシロで読むと、特に異常な値は出ていない
●モーターの回り出し時にモーター電圧(レギュレータの入力電圧)が2.7Vほどにまで下がる
●そのためマイコンやセンサの3.3V安定化電源が100msほどの間、電圧低下する
Coronの安定化電源は低損失の三端子レギュレータのようで、3.3V出力するには少なくとも入力に3.5V位は必要ですから、電圧降下は無理からぬことです。
マイコンにはADコンバータが組込まれ、それでセンサの電圧出力を読み込んでいます。そしてその参照電圧(Vref)はマイコンの電源電圧と同じです。これから、次の事実が導かれます。
●モーターの回り出し時にADコンバータの参照電圧が3.3Vより下がる
ADコンバータの参照電圧が下がるとどうなるか、参照電圧を変えた場合のADの値はこんな風に変わります。
ADの入力電圧1.5V、分解能12bit(4096)の場合
■参照電圧3.3V 読み出し値=1.5/(3.3/4096)=1862
■参照電圧3.0V 読み出し値=1.5/(3.0/4096)=2048
これを見てもわかるように、同じ入力電圧で読み出し値が200近く変わります。電圧が下がっているのに参照電圧3.3Vのつもりで値だけを見ると、入力電圧が1.65Vに跳ね上がったように見える訳です。
したがって対策は
●ADコンバータを使うならモーター動作時に3.3Vの電圧が下がらないようにする
ということになり、今回取った具体的対応策が
●バッテリー部のダイオードをバイパスし、レギュレータの入力電圧を0.8Vほど高くする
ということでした。
実際、システムの電圧マージンを考えると、4.8Vでは今回取った対策でもぎりぎりです。バッテリの電圧をあげるか、もっとバッテリ周りの電気抵抗(内部抵抗や電池ボックスとの接触抵抗)を低くする工夫をしたほうが安心だと思います。
ダイオードをバイパスしないで使うなら、電源電圧は最低でも6〜7.2Vが必要です。この場合モーター電圧は5.2〜6.4Vくらいになります。
Coronボードとサーボを使って自律ロボットを目指す方は、電源に気を配らないと、おかしな反応に悩まされることになります。気をつけましょう。
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