ジャイロ制御のレーシングカーをテストする(その1)
大きな工作が進まないので…気分転換です。(こればっかり)
ねずーやiRoverでは旋回の角度制御や、進行方向のロックにmuRataの圧電振動ジャイロを使ってみました。
差動ドライブのロボットにジャイロを使う利点は、工作の難しい高精度のホイールエンコーダが必要ないことと、スリップしても正確な旋回が出来ることです。
さらに、歩行ロボットやホーバークラフトなどの駆動輪のないものでも、旋回角度や直進補正の制御が出来ることも魅力でしょう。
今回は、おもちゃのラジコンカーにマイコンとジャイロを搭載し、インディのようなオーバルコースを自動操縦で走らせてみようと言うわけです。
アッカーマンステアリングとデフギアを備えた自動車は、タイヤがグリップしているならば、いずれかの車輪のオドメトリとステアリングの運動から、旋回角度を計測することが出来ます。ラリーカーのように悪路をぶっ飛ばすと、グリップが失われタイヤがスリップするので、この方法では旋回角度に誤差が出ます。もっとグリップが悪くなると、車は横滑りを始め、制御が失われてスピンします。
この状態で走行を続けるためには、スピンしたら逆ハンを切って車を立て直し、いわゆる「ドリフト走行」する、というのが「サーキットの狼」で仕入れた豆知識です。ジャイロをコンパスとして使えば進行すべき方向がわかるので、風吹裕矢(僕らの世代だと三船剛の方がわかり易いかも)ばりのドリフトを見せてくれるかも知れません。今回はこれにチャレンジします。
改造ベースのラジコンカーはここで購入したCCPのインサイトです。自宅で走行テストするにはちょっと大きめですが、安いので我慢します。ボディはブリスターできちんと内側から塗装されており、ホビーラジコンや往時のスロットレーシングを彷彿とさせます。さらに、この車はちゃんとFFで、前輪が駆動輪です。おもちゃなのでデフはありません。つまり、旋回時には駆動輪が必ずスリップします。
ステアリングはおもちゃのラジコンによく見られる、モーターとトルクリミッタを組み合わせたもので、モーターを回している間、ステアリングが左右いっぱいに切れ、オフにするとセンターに戻ります。遠心クラッチを使っているのではないでしょうか。プロポのように自由な角度にステアリングを切ることは出来ません。
改造後の写真がこれです。マイコンはおなじみPIC16F886、ジャイロはmuRataのこれです。スポンジで振動をアイソレートしています。
簡単なソフトを作って、オーバルコースを5周させた様子がこれです。直進補正と180度旋回の制御をジャイロで行っています。1回目はグリップタイヤでグリップ走行、それ以降は後輪をプラのタイヤに変えてドリフト走行をさせています。
グリップ走行では、割と正確にオーバルコースを走行します。ドリフトをさせるとコースが乱れますが、まあなんとか格好がついているのでないでしょうか。
次回は、テスト結果の分析とソースコードや回路の説明をします。
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