XBeeでシリアルカメラを無線化する(その1)
花岡ちゃんのウィークエンド
今週は前に実験したシリアルJPEGカメラを無線化してみます。単に無線化するだけではなく、長時間の電池駆動のため、省エネ化にもチャレンジします。
昔ながらのコンポジットビデオを電波で送るのはとても簡単で、トランジスタ1個でも作ることが出来ます。マイコンを自作していた70年代は、この方法でテレビの空きチャンネルにVRAMの表示をさせていました。コンポジット入力のついたモニタが普及するまでは大活躍したものです。
普通はテレビのアンテナ端子に同軸ケーブルで接続しますが、送信機の出力をあげて簡単なアンテナを付けると数メートルの無線伝送も出来ます。電流もわずか数mAです。もっとも電波法違反ですけど。
昔のハナシはともかくとして、今回はシリアルカメラとXBeeを使って、静止画の無線カメラを作ってみましょう。
Xbeeで通信するためにはフロー制御が必要なので、垂れ流しの画像データを直接接続できません。そこで間にマイコンを入れて制御するようにします。
【後日追加:下記のバッファサイズは間違いです。訂正はこちら】
なお、XBeeの仕様書によるとXBeeの送信バッファサイズはわずかに37バイトで、バッファの残りが17バイトになると/CTSがインアクティブ(H)になり、データの停止を要求します。CoodinatorとEnd Deviceを38400bpsに設定してデータ転送をすると、この写真のように/CTSは結構バタバタします。(Lの時だけデータを受け付け)
XBeeとシリアルカメラ、二つのシリアルデバイスを接続するので、マイコンにはシリアルポートが二つ必要です。しかし、いつも使っているPIC16F886には一つしかありません。
身近なマイコンでは、SH-7125やH8-3052ならシリアルポートは複数ありますが、消費電流が面白くありません。50mA近くも食います。電源電圧が5Vなのも省エネ機器には向きません。
と、いうことで、今回はPICのシリアルポートをXBee側とシリアルカメラ側に切り替えて使うことにしました。ソフトでシリアル通信をすることも考えましたが、8MHzのクロックでは高速で安定な動作は期待できません。クロックを20MHzまであげれば良さそうですが、そうすると3Vでの動作が保証できなくなります。そんなわけで、素朴な実装となりました。
シリアルカメラから256バイト分の画像データを受信し、ポートを切り替えて、XBeeに送り出すという仕掛けなので、あまり効率は良くありませんが、まあ、確実です。
3V動作、内蔵8MHzオシレータ使用時の16F886の消費電流は1mA程度ですが、シリアルカメラはそうはいきません。実測すると動作時の電流が70mA弱、パワーセーブモードでもなんと40mA以上も食っています。使わないときに電源を切るのが良さそうです。秋月で売っているPch MOS FET DMG3215Uで電源をON/OFFします。このFETはVGSが1.5V位から使えるので、今回のような低電圧のキカイにはもってこいです。
【後日追加:下記回路は電圧が3Vより高いと動作が不安定になります。改訂版はこちらのページにあります】
回路図はこんな感じです。
「XBeeCam.pdf」をダウンロード
回路の中にダイオードが二つあります。今回は普通のスイッチングダイオードを使って正常に動作していますが、ロジックレベルのマージンを稼ぐために、ショットキーのように順方向電圧降下が小さいモノを使うべきです。ホントはね。
完成した試作機の写真です。電源にはアルカリ単三電池を2本使っています。
次回はソフト回りのハナシをします。
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コメント
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こんにちは。僕は工業高校生です。
この度工業高校の大会に出場するのですが、
そのときの研究発表の場で、XBeeを使用した製作物の発表をしたいと考えています。
勝手なお願いで申し訳ないのですが、このサイト内のXBeeでシリアルカメラを無線化する一連のプログラムや回路図を参考にさせてもらってもよろしいでしょうか?
もちろん発表の際参考文献としてこのサイトのURLを紹介させていただく予定です。
投稿: りゅうじん | 2015年12月17日 (木) 00時21分