連続回転サーボの作り方
花岡ちゃんのウィークエンド:
新年早々の海外出張で、入国カードに入境日付を書き始めたとき、、不思議な感覚を覚え思わずペンが止まりました。2012年… 非現実感とでもいうのでしょうか、自分がSF小説の登場人物になったような、あれ、これは現実なのかな? このまま書き進めていいんだろうか? といった感じです。2012年… 思えば遠くへ来たもんです。 すでに21世紀になって10年、一昔がすぎてしまったのですね。子供ころ夢見た未来がこないうちに…
それはともかく、久しぶりのウィークエンドです。今回は秋月で販売しているGWSのサーボを連続回転に改造してみましょう。使うのはトルクタイプのこれか、スピードの速いこれです。
連続回転(コンテニュアスローテーション)サーボは、カメロやNanoScoutで走行用に使っています。
このサーボはサーボパルスに応じて回転方向と回転速度(正確にはモーターパワー)をかえることができ、ニュートラルで停止します。プロポと組み合わせてラジコンカーや戦車などの駆動部に使えます。ラジコンサーボを制御できるロボットボードから動かすこともできるので、お蔵入りになってしまったヒューマノイドロボットを改造してガンタンクを作ることもできますね。僕の場合ガンタンクよりこれですが。
普通のサーボを連続回転サーボに改造するポイントは次の2点です。
1:出力ギアのストッパーを切り取り360度回転できるようにする
2:出力ギアとポテンショメーターが連動しないようにし、ポテンショメーターをニュートラルで固定する
では、実際に改造してみましょう。
サーボの止めビス4本を外し、上部のカバーを外します。内部にはこんな感じにギアが並んでます。
出力ギアとその前段のギアを外し、ピンクの丸で囲んだ部分の凸をニッパーやナイフできれいに削り取ります。これが出力ギアのストッパーで、下の写真のように削り取ることで360度回転するようになります。
ギアを外したサーボから、ポテンショメーターと出力ギアの連動部品、白いプラパーツを外します。細いマイナスドライバーなどでこじると簡単に取れます。これで出力ギアが回ってもポテンショメータは回りません。
下の写真のピンクの丸で囲んだ部分の平たい軸が、ポテンショメーターの回転軸です。次はニュートラルの位置でこれを固定します。
まず、プロポかサーボ制御のできるマイコンボードを用意し、サーボを接続、ニュートラルの信号を出しておきます。この状態ではサーボのモーターが回転していると思います。モーターが止まるようにポテンショメーターの回転軸をまわして調整します。
モーターが止まったら、軸の周りにセメダインコンタクトやボンドG17のような合成ゴム系の接着剤をつけて固定します。がっちり止めるというよりは、振動などで狂わないようにするためです。さらさらした瞬間接着剤よりもべたべたした合成ゴム系の接着剤の方が向いています。
数時間して接着剤が乾いたら組み直します。
これで完成です。作例の車輪は右の写真のようにタミヤのトラックタイヤの内側のボスを削り、十字ホーン(うまい具合にぴったりはまります)をホットボンドで固定したものです。あまり丈夫ではありませんが、ちょっとした走行物の工作には使えます。
« STM32F4の消費電流を測る | トップページ | 長距離測距センサGP2Y0A710Kをテストする »
「花岡ちゃんのウィークエンド」カテゴリの記事
- レーザー距離センサVL53L0Xを複数使うには(2022.05.01)
- 【訂正!】PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(2022.04.13)
- PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(おしまい)(2022.04.14)
- PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(その3)(2022.04.13)
- PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(その2)(2022.04.12)
はじめまして.機械工学を専攻している学生です.
連続回転サーボのプログラムを公開していただけませんか?
投稿: 高専生R | 2013年4月17日 (水) 14時19分
コメントありがとうございます。これはラジコンサーボを連続回転型にする改造方法の投稿で、プログラムは必要ありません。このように改造したサーボをプロポ(模型用のラジコン装置)の受信機につないで送信機のスティックを倒すと、その角度に応じた早さで回転するようになります。もちろん、サーボコントロールのできるマイコンボードでも同じに使えますよ。
投稿: ササガワ | 2013年4月17日 (水) 21時11分
ササガワ様。こんにちは。いろいろ興味深く拝見しました。サーボモーターの連続回転とは面白いですね。素人なのでつまらない質問で恐縮ですが、連続回転の場合、任意の回転位置で止めることは可能でしょうか?たとえばスタート位置?から120度、275度など。或いは400度(1回転後の40度)や1800度(10回転)などです。お時間があれば宜しくお願いします。
投稿: けんいち | 2013年4月18日 (木) 18時48分
コメントありがとうございます。このサーボは、回転角度を検出するポテンショメーターをニュートラルで固定し、「いつまで回しても目標位置に到達しない」状況を作り出すことで「連続回転」させています。したがって回転角は指定できません。ご質問のようなサーボの自作には、普通のサーボの出力軸をギアで増速(たとえば出力軸が90度で900度回転するように1:10にするなど)する方法があります。ただし、バックラッシュやら分解能の低下やらで、スティックを少し動かすだけで、30度くらい動いてしまうかもしれませんが。
市販の模型用サーボで360度以上回転するものには、ラジコンヨットのセールウインチ用のサーボがあります。360度回転するGWS S125-1Tは秋月電子でも手に入ります。GWS社のHPをみると、S125-12Tなどという12回転もするモデルもラインナップにはあるようです。海外の通販サイトなら売っているかもしれません。
投稿: ササガワ | 2013年4月19日 (金) 23時38分
回答ありがとうございます.
直流安定化電源からRCサーボの赤端子に+,黒端子にマイナスを入力したところ,連続回転しました.
しかしRCサーボの仕様書を見たところ4.8Vを入力したとき,3.4[kg・cm]のトルクが発生するはずが,連続回転仕様にしたRCサーボでは2Vのとき,0.73[kg・cm]のトルクしか発生しませんでした.これ以上電圧を上げると止まってしまいました.仕様書通りのスペックを発揮することは可能なのでしょうか?
なお信号線にはなにも入力していません.
お手数かけますがよろしくお願いします.
投稿: 高専生R | 2013年4月23日 (火) 14時03分
なるほど・・ まず、ラジコンサーボは信号(サーボパルス)を入力しないと動作しません。信号がない場合、最近のサーボは異常と判断してモーターの電源を切ります。また、サーボは指定の電圧範囲内で使わなければなりません。電圧が高いと壊れますし、低いと誤動作します。つまり止まるのが正常で、2Vでは動作電圧をはるかに下回るので誤動作で回転してしまうのです。本投稿でも書いてあるように、ラジコンサーボは模型用のラジコン装置(プロポ)かサーボを制御できるマイコンボードなどに接続して動作させる必要があります。
この改造レポートは、ラジコンサーボを動作させる装置(プロポなど)が使えて、ラジコンサーボの基本的な知識(接続方法やプロポのスティックをどう動かすとサーボがどう動くかなど)のある方でないと、追試は難しいかと思います。
すくなくとも、投稿中の『プロポかサーボ制御のできるマイコンボードを用意し、サーボを接続、ニュートラルの信号を出しておきます』という一文を理解し、装置をセットアップできるスキルは必要です。ここでサーボの初歩入門の話をするには紙幅が足りませんが、ネットにたくさんの情報がありますから、そちらで勉強されてから再チャレンジすることをおすすめします。
投稿: ササガワ | 2013年4月23日 (火) 21時49分
だいぶ前の記事ですがもしコメントを読まれましたら教えてください
連続回転ができるように改造したサーボモータを停止させた時は保持力はありますか?
位置決め精度などは必要無いのですが適当な位置で停止させその位置で保持トルクを持つモータを探しておりまして質問しました
投稿: ミドリガメ | 2015年5月29日 (金) 10時59分
ブログオーナーのササガワです。
これは、サーボをパワー制御付きのギアードモーターに改造しているだけです。位置制御の機能はないので、停止時にモーターはOFFになります。位置保持はできません。
投稿: ササガワ | 2015年5月29日 (金) 22時29分
読んでいただいて助かりました、ありがとうございます
市販の最初から連続回転するサーボなんかも同じ仕組みですかね?
それと改造したサーボを極限まで遅く回すことによって擬似的に停止状態に近づけることは難しいでしょうか?
投稿: ミドリガメ | 2015年5月30日 (土) 08時14分