アクエストークLSI・ATP3011F4-PUを試してみる
花岡ちゃんのウィークエンド:アクエストークの実験
前回投稿したアクエストークのLSI、ATP3011F4-PUを入手し、テストしてみました。
最もシンプルな回路でのテストです。
スピーカーの駆動はトランジスタ1石です。D級動作なので、いわゆる小信号用やスイッチング用ならだいたいのものが使えます。ベース抵抗も数百Ωから数KΩくらいまでなら何でもかまいません。
パソコンとの接続にはレベルコンバータが必要です。僕は、単三電池4本を簡易電源として搭載した実験用レベルコンバータを自作して使っています。新たに作る人はこれなどを利用するとUSBで使えて便利でしょう。試作したものがこれです。
回路は手前のブレットボードに組みました。左奥の基板が電池内蔵のレベルコンバータで、今回はこれから安定化した3.3Vを供給しています。右奥の丸いスピーカーはタッパーウェアに組み込んだものです。裸では良い音がでないので、この程度でもかまいませんからスピーカーボックスに入れるようにしましょう。
テストはTeraTermで行いました。このデバイスはボーレートを自動設定するようになっているので、ボーレートは何でもかまいません。今回は38400bpsに設定しました。その他の設定は、パリティなし、ストップビット1、フロー制御なし、ローカルエコーあり、です。
これが動作させた様子です。
接続し、電源を投入したら、"?"をタイプします。これでボーレートをチェックするようで、同期するとプロンプト">"を表示します。この操作はパワーオンリセットやスリープからの復帰後1度だけ必要です。
続いて"konnnichiwa"(こんにちわ)などと喋らせたい内容をローマ字で入力しリターンキーを打つと喋ります。発声が終了するとプロンプトを返し、次の言葉を待ち受けます。
前のデバイス同様、喋れないデータのときはうんともすんともいいません。喋らないときは"aiueo"などの簡単なデータで試してみてください。
音量はそれなり。ポケットラジオくらいです。肝心の音質はちょっとカサカサいう感じです。オーディオ評論のジャーゴンでいえば「シャリってる感じ」ですかね。ただ、音声合成としての品質は十分で聞き取りやすい音声だと思います。
3.3V、8Ωのスピーカーでの消費電流は、待機時0.6mA(同期させるまでは3mA)、発声時80mA程度です。スピーカーを16Ωとか32Ωにすれば、もう少し消費電流を減らせると思います。反対にトランジスタをICが1Aくらいのモノにかえれば、もう少し音量がとれるでしょう。もっとも、音量を求めるなら、アンプを別付けにする方が消費電流も抑えることが出来るので、合理的だと思います。
待機電流が少なくて、とてもいいですね。電池動作で面白いものが作れそうです。
最後に、気がついたことをいくつか。
■一度に送れるデータサイズは127バイト(MicroTalkの半分くらい)
枕草子なら「春はあけぼの、ようよう白くなりゆく山際、すこしあかりて、紫立ちたる雲の白くたなびきたる。夏は夜」くらいまでです。それ以上の台詞を喋らせたいときは、分割して送信する必要があります。
■ボーレートを固定したいときはPMOD0をLにすると9600bpsに固定される
組み込み機器にはこの方が確実でいいかもしれません。
■ローマ字で記述されたデータは確認しにくい
ホストのマイコンにデータを埋め込んだりする場合には、日本語文字コードで悩まなくてよいのですが、データの確認はちょっと厄介です。ホストがパソコンで大量のスピーチデータが必要な場合は、スピーチデータにひらがな表記の使えるMicroTalkの方がいいかもしれません。
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