ジャイロコンパス+測距輪でのナビゲーション(1)
ROSさんお手やわらかに/花岡ちゃんのウィークエンド
今回のウィークエンドは、今までとは違う方法で、自律移動ロボットの基礎技術を試してみます。
多くの移動ロボットには、自己位置推定という基礎技術が必要です。これは、そのロボットが、想定される活動エリアの、どこに居てどちらを向いているのかを推定する機能です。
このブログで取り上げたロボットでは、シェーキーやroombaプラットフォームがこの機能を持っています。これらのロボットは、左右の駆動輪の回転数から、自己位置推定を行っています。当然、車輪がスリップすれば位置や方位に誤差が発生します。シェーキーは重量もあり、走行路面がフローリングの床に限られるので、誤差はそれほど大きくなりませんが、roombaプラットフォームのように、カーペットなどを乗り越えて進まなければならないものは、どうしても誤差が大きくなります。
そこで、今回の実験では、方位をジャイロコンパスで、移動距離を測距輪で計測する方式を試してみます。この方式の利点は、理論的に駆動輪のスリップによる計測誤差がないということです。滑りやすい路面や障害物の抵抗で駆動輪がスリップしても、ロボット自体が動かなければ測距輪は回りません。方位は駆動系から独立したジャイロコンパスで測定しますから、もとよりそのような誤差は発生しません。ラフな構造のロボットでも、自己位置推定機能を持たせられそうです。
試作機はこうなりました。ロボタで使った外国製のキャタピラシャーシを流用しています。プラのキャタピラは滑りやすく、また、硬い路面ではガタガタ振動するという体なので、今回の実験にはぴったりです。
写真の右側が前です。前方にはみ出している"M"のマークのある箱が、心臓部のジャイロコンパスです。小さな液晶は秋月の小型I2C液晶で、現在座標などのデバッグ情報を表示します。後ろに引っ張っているのが測距輪で、2個のフォトリフレクタで1回転72パルスの分解能があります。これは0.2945cmに当ります。
下の動画はナビゲーションの様子です。
一辺100cmの正方形の各頂点の座標を与えて、それらを順番にたどらせています。キャタピラはプラ製で滑りやすく、また古雑誌を乗り越える時に方向が変わりやすいといった悪条件でも、そこそこ元の位置に戻っているのがわかるかと思います。
次回は試作機の各部を説明します。
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コメント
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測距輪 すごいほしいです
投稿: ギシチョウ | 2014年4月21日 (月) 21時10分
Hi my name is Daniel, in this moment i am finalizing my engineering and i have questions of the gyroscope XG1300L, can i talk with you?? please write to my email. i appreciate your time.
Regards from Colombia.
Daniel Zapata
投稿: Daniel Zapata | 2014年9月 4日 (木) 06時24分