2022年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー

ブログパーツ

無料ブログはココログ

« PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(おしまい) | トップページ | レーザー距離センサVL53L0Xを複数使うには »

2022年4月28日 (木)

【昔語り10】電子工作の「伝道師」泉弘志さんのこと

アキバ昔語り:

1960年代中頃、当時小学生だった僕は「子供の科学」を毎月買ってもらってました。月1回、父親が仕事帰りに買ってきてくれるのが待ち遠しかったのを覚えています。読み始めたのは小学3年生の時、思えば、これがラジオ工作との出会いでした。

製作記事の中で特に気に入ったのが、軽妙な文体とわかりやすいイラストの1〜2石程度の簡単なラジオ製作記事でした。著者名には「泉弘志」とありましたが、なんと読むかはわかりませんでした。下の誠文堂新光社の「図解1−2石ラジオ製作集」の巻頭記事のスキャンデータをご覧になれば、これか、と思い出す人もいるのではないかと思います。

ダウンロード - izumihirosh.pdf

この記事は巻頭記事ということで特別に丁寧に書き下ろされたものだと思います。実際の部品を配線図と対比する形に並べたり、注釈にイラストを入れたりと初心者にわかりやすい内容になっているでしょう。また、記事の文体も柔らかく読みやすいですね。泉弘志さんの製作記事は、「子供の科学」「初歩のラジオ」「模型とラジオ(版元は科学教材社)」といった誠文堂新光社系の雑誌に載ってました。

当時は、文章を書いてるのが泉弘志さんで、イラストは別の人が描いてると思ってましたが、60年代末くらいから下記のようにクレジットされるようになり、イラストも泉さんということがハッキリしました。写真は1970年の「模型とラジオ」5月号からです。

Img_3631 Img_3630

手持ちの古本を確認したところ、この3冊が泉弘志さんの製作集でした。いずれも「初歩のラジオ」「子供の科学」に掲載された記事をまとめた本で、60年代末から70年代中頃に出版されたものです。

Img_3632

このように数多くの入門者向け記事を書かなければならないとすると、どうしても同じようなコンテンツが多くなってしまうのはやむを得ないでしょう。マンネリを打開するためか、泉弘志さんはいろいろな変わり種セットを考案しています。例えばラジオなら、マッチ箱に組む超小型もの、60年代に流行っていた様々な形のお菓子のプラケース(現在も「チョコベビー」は現役のようです)に組むもの、さらには上の写真にも写ってますがプロペラを選曲つまみにしたヒコーキ型までありました。いずれも少年の工作ゴコロをくすぐるものだったと思います。

その中でこれは、というのが「サンダーバード型 電子おやすみ器」です。これは1968年の「子供の科学」8月号に掲載されました。

Img_3643 Img_3644

当時人気だったイマイのミニ・サンダーバード2号のプラモデルの中にセットを組み込んでしまうというのは、僕にとっては、いろんな意味で衝撃的なアイデアでした。なんといっても当時はプラモデルだけで立派な遊び道具だったわけで、それを惜しげもなくキャビネットとして使うわけですから、大人の人の考え方はすごいなと変なところで感心したりしました。ちなみに「おやすみ器」というのはポツンポツンという雨垂れのような音を発生する機械で、寝付けないときにそれを聴いているうちに眠ってしまうというものです。実際に効くのかどうかは分かりません。

調べたところによると、泉弘志さんは終戦間もない1948年(昭和23年)、創刊したばかりの「初歩のラジオ」に執筆を始め、1999年の「子供の科学」をもって引退、その後2003年末に76歳で鬼籍に入られたとあります。まさにエレクトロニクス時代と共に生き、そして数多くの子供たちをエレクトロニクスの世界へ導いた「伝道師」といえるでしょう。

最後に、また古本の中から、1949年の「初歩のラジオ」8月号の記事(泉弘志さん19歳!)を紹介しましょう。当時の初ラは、写真の通り、小さく、紙質もよくありません。季節感あふれる表紙絵は、海洋船舶画の名手、飯塚羚児画伯です。

Img_3633

記事は入門者向け再生検波短波ラジオの作り方です。記事の最後にもありますが、この頃はまだ民放ラジオはなく、短波で聴く外国の放送を楽しんでいた人も多かったようです。面白いのはUY-76という三極管を2本使っているうち、1本をわざわざ二極接続としてB電源の整流用にしていることです。普通なれば12Fなどの整流管を使うところで、同号の他の製作記事ではみんな12Fです。これは、入手しやすいUY-76だけでセットを構成するためだったのではないでしょうか。UY-76は、旧日本軍の無線機に多用されていたので、戦後の一時期、新品も中古も安く流通していたという話をどこかで読んだことがあります。こういうところにも、泉弘志さんのラジオ初心者への配慮を感じます。(前年の10月号にも泉さんの記事はあったのですが、真空管回路の解説で、製作記事ではなかったので、こちらを紹介しておきます。)

Img_3634 Img_3635 Img_3638

タイトル左のイラストは、タッチが異なるので泉さんの筆になるものではないと思います。編集部が用意したカットでしょう。2枚目の写真の実体配線図を拡大すると、すでに泉さんのお茶目なセンスが発揮されていることがわかると思います。アンテナ線の先っぽに風船がついているのは、この投稿の最初に載せたpdfの4ページにもありますね。

Img_3639

« PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(おしまい) | トップページ | レーザー距離センサVL53L0Xを複数使うには »

アキバ昔語り」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« PIC24Fでレーザー距離センサVL53L0Xを使う(おしまい) | トップページ | レーザー距離センサVL53L0Xを複数使うには »